胎内などと言いますとちょっと不気味にも取られますがこちらは自然を人の身体に見立てたとても神聖な場所なのです。
富士山世界文化遺産15-1
胎内樹型とは
溶岩が流れ下ったときに樹木を取り込んで固化し、内部で燃えつきた樹幹の跡が空洞として遺存した洞穴を溶岩樹型と言います。またそのような複数の樹型が重なり合い繋がったものを複合型溶岩樹型とも呼びます。
胎内樹型は複合型溶岩樹型であり、サイズ的には人が潜れるほどの空間が地下にできた場所です。
胎内と呼ばれる所以はその複雑な樹型のありかたが女性の胎内に例えられたところから来ているようです。
それが「御胎内」と呼ばれ胎内信仰となり富士講信者によって重視されるようになっていきました。
富士講信者は登拝の前日に「御胎内」を訪れ、洞内を巡って身を清め富士登山に備えました。それを胎内巡りと呼びます。
胎内巡りをすることで人は新たに清らかな身に生まれ変わる事ができると思われていたのでしょう。
また胎内の中には木花開耶姫命が祀られ安産祈願の対象ともなっているようです。
そうした信仰から富士講信者たちの手により御胎内は受け継がれ霊地として崇められてきた場所です。
その代表的な場所が吉田胎内樹型と船津胎内樹型であり、この二つの場所は富士講の信仰対象としての価値を認められて構成遺産として登録されました。
吉田胎内樹型
※写真は胎内洞の入口と祭壇。森の中の静謐な佇まいが素晴らしいです。
随感
吉田胎内樹型は巨木が折り重なり樹型化した複合型溶岩樹型です。
承平7年(937)の富士山噴火で流出した剣丸尾第1溶岩流の東縁にあり、吉田口登山道中ノ茶屋の北西約1,300mに位置するとありますが、正直そんな説明では位置は全くわかりませんw
富士北麓公園の南を走る716号の公園入口近くに沢があり橋がかかっています。
少しだけ西に進むと急な斜面に階段があり上に小さな鳥居があることに気が付くかと思います。
そこが吉田胎内樹型への入口となります。
※道路脇の歩道からこの階段を登ると木立の中に道らしきものがあるのでそれを伝って進んでいきます。
道らしき道はありませんが沢伝いに何となく人が踏みしめた比較的歩きやすい場所があるので進みます。時々足許に小さな案内看板があるので初めてでも何となく方向はあっていることは確認できるので安心しできます。
15分ほど歩けば木立の中に朱塗りの鳥居がありますのでそこが現地であるとわかります。
そこを潜るとちょっとした窪地のような場所が現れ、小さな社のようなものが正面に見えてきます。
その社の下に吉田胎内への入口が口を開けて待っています。
その窪地に降りて周囲を伺うと、まるで緑に閉じ込められているような包まれ感ですが、圧迫感はなくさりとて開放感もなくなんとも不思議な空間に感じます。ただここが大切な場所であることは漂う空気から感じずにはいられませんでした。
小さな社と胎内の前まで行けますが残念な事に未公開なため柵が施され中には入れません。
吉田胎内樹型は普段は未公開なため現地に行っても入口の柵越しに中を覗くことしかできませんが、毎年4月に執り行われる神事「胎内祭」当日にかぎり内部へ入ることが許されています。
どうしても中に入りたい方はその日を確かめて胎内祭に参加してみては如何でしょうか。
吉田胎内樹型は周辺に点在する60以上の溶岩樹型と共に天然記念物にも指定指定されているそうですが、ちょっと歩く範囲で見た限りでは自分は一つしかわかりませんでした。
周辺を良く探し回ればきっと幾つもみつかるかとも思いますがあまりお勧めできません。この周辺は溶岩の上に落ち葉などが積もっている地形なため何処に穴が開いているか分かり難いです。まさか身体ごと落ちることはないと思いますが、足を落として怪我をしても周囲に人の気配はまったくありませんし、誰かが通りかかるのを待つのも余程運が良くなければ無駄だと思われます。それ程に周囲にまったく人気がないです(汗
怪我をしないことを第一に考えあまり道から外れて木立の中を歩き回らないでください。
基本情報
富士スバルライン料金所手前の信号機のある交差点を東に向かうと間もなくあります。
ただし入口は説明したとおり、道路脇から登るため付近に駐車場はありません。真っ直ぐな道ですが意外と交通量があり、大型バスなども通りますので路上駐車は辞めた方がいいです。少し離れてしまいますが一般公開されている船津胎内樹型の方には駐車場がありますのでフィールドセンターでことわってそちらに駐めて二つを見学するのが無難かと思われます。もしくは中ノ茶屋の駐車場を利用します。
アクセス
交通機関/富士急行富士山駅バスにて中ノ茶屋下車徒歩20分
中央道河口湖インターから17分
備考 胎内樹型内部は非公開
駐車場 有り 中ノ茶屋の駐車場利用し徒歩15分
富士吉田市役所 歴史文化課 TEL:0555-24-2411
ふじよしだ観光振興サービス
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