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沼津市戸田地区の松城家住宅を訪問しました

沼津市の戸田地区にある松城家住宅を訪問しました

重要文化財の擬洋風建築

 

沼津の戸田地区にある松城家住宅に行ってきました。

こちらの松城家住宅は明治初頭に建築され現在は重要文化財に指定されている貴重な建造物です。近年はずっと修復工事が行われていていましたが、一年ほど前から見学がでいるようになっていて気になっていたので足を運んでみました。

 

松城家住宅外から

 

松城家住宅_外観

松城家住宅_外観

写真では伊豆石を積んだ塀が邪魔で一階部分は分かり難いですが二階屋で瓦屋根に白いバルコニーと和洋折衷な様子が窺えます。
所謂、擬洋風建築というものですね。

 

別角度からだとこちらの二階に洋窓が3つ並んで見えます。

 

松城家住宅_洋窓

松城家住宅_洋窓

 

が、実は奥二つは飾りで右の一つしか機能していません。それも内側から見ると結構和風ぽかったりします。

 

門から石畳で玄関に続いています。

 

松城家住宅_玄関、ミセ

松城家住宅_玄関、ミセ


右側には「ミセ」と呼ばれる帳場が付属しています。

 

松城家住宅_玄関、ミセ2

松城家住宅_玄関、ミセ2


因みにこちらの玄関は家人やお店の人など主に身内が利用するためのもののようです。
お客様は左手の庭の入り口に伊豆石で作られたアーチをくぐります。

 

松城家住宅_庭門、塀、本玄関

松城家住宅_庭門、塀、本玄関

 

 

そちらには本玄関があります。武家屋敷のような和風で立派ななたたずまいの玄関です。

二階の造形との違和感が……

 

松城家住宅_庭門、塀、本玄関2

松城家住宅_庭門、塀、本玄関2


ここから屋敷に上がり一間が玄関に使われている構造のようです。

 

松城家住宅室内

見学は玄関から中に入ります。

本玄関の間から左手にはお座敷、その奥に上段の間。

 

松城家住宅_上段の間

松城家住宅_上段の間


右側には広間、奥に中の間となりそこから二階に上がる階段があります。脇には土間が続いています。
その辺りは日本家屋という感じですね。

 

自分の感覚では田の字に部屋が配置され回り廊下で囲まれて逆脇に土間が続くのがまあまあな日本家屋のイメージです。
良いお屋敷なら田の字に横に2間を足して6間とか。
こちらのお屋敷も一階部分は階段があるためか変則的な配置になっていますが6間と土間の配置を基本としているように見えます。奥の二間は納戸扱いのようですが。
これに玄関脇のミセ、土間に大きな竈を饐えた釜屋、お座敷の脇に風呂場、奥に便所、さらに奥の角に文庫倉が付け足されています。土間の奥のお勝手も広めですね。

 

松城家住宅_文庫蔵扉

松城家住宅_文庫蔵扉

 

文庫倉は蔵造りで堅牢で防火対対策もしてあるのでしょう。普段から出入りするにはちょっと大変そうな扉です。貴重なものをしまっていたのでしょうね。

 

 

松城家住宅_風呂

松城家住宅_風呂

 

風呂場はお座敷の隣という不思議な配置です。

 

松城家住宅_文庫蔵外観

松城家住宅_文庫蔵外観

奥の蔵が文庫倉、手前が便所の建物。

 

と、一階部分でもかなり広いお屋敷ですが、こちらの目玉は2階部分です。

 

松城家住宅2階

 

一階は和風のままでしたが階段を上るとまずは天井が目に入ってきます。その柄からは洋風な雰囲気が漂っています。

 

松城家住宅_階段上

松城家住宅_階段上

 

 

間取りとしては階段を上って左に小さめの龍の間、次の間。

龍の間だからランプかけが龍なのか、ランプがけが龍だから龍の間なのか?

松城家住宅_漆喰鏝絵2

松城家住宅_漆喰鏝絵2


次の間の壁には狭いですが床の間のような部分があり、漆喰の壁はつまんだような変わった装飾になっていました。

 

松城家住宅_漆喰壁模様

松城家住宅_漆喰壁模様

 

階段正面には田の字に4間が連なり、階段登って前の間、応接間とつつき、その脇に二間ある構造です。そこだけ見るとやはり日本家屋的な作りを感じます。

 

松城家住宅_二階応接間

松城家住宅_二階応接間


ただ2階は擬洋風らしい和洋折衷な雰囲気があります。
床は畳敷きのようですし、仕切りは襖となっていますが、天井には舶来の壁紙が貼られています。

 

松城家住宅_二階応接間2

松城家住宅_二階応接間2


部屋の前と後ろには外に面した廊下があり前側はガラスの入った戸で仕切られ、漆喰の塗られた円柱の向こうにはバルコニーが設置され洋風な雰囲気もあり、和洋折衷感が溢れています。

 

松城家住宅_二階廊下とバルコニー

松城家住宅_二階廊下とバルコニー


裏側の廊下との境は障子でしたが廊下の外には飾りの円柱が前と同じように並んでいてそれっぽい雰囲気がありました。

 

松城家住宅_外観裏側

松城家住宅_外観裏側

 

龍の間のランプかけなどの小手絵は入江長八とその一派のものとのことです。

 

松城家住宅_漆喰鏝絵1

松城家住宅_漆喰鏝絵3

 

松城家住宅_漆喰鏝絵1

松城家住宅_漆喰鏝絵1

 

まとめ

 

松城家住宅を見てきましたが、こちらは擬洋風の中でも日本家屋の雰囲気が多く残る感じで面白かったです。

外観も一階が日本家屋で二階外壁が石積み風と風変わりです。

明治初期に建てられていますから、現存する擬洋風建築でも古いものなのかもしれません。建築時期が明治2年(1869)頃のようなので日本に擬洋風建築が建ち始めてまだ10年にも満たない時期のものです。
その分、洋館を建てる技術が国内では広まっておらず、見様見真似で在来建築に洋風要素を既存の技術を駆使して盛り込んだ感じが面白いです。
それでも2階の応接間などを見ると、昭和の頃の日本の家に椅子やテーブルを並べたのと共通する雰囲気もあり、当時としてはかなりモダンであっただろう事が窺えました。そしてそんな昭和な雰囲気は歴史を感じさせながらもどこか懐かしさも感じさせてくれてとても良かったです。

 

松城家住宅_二階応接間照明

松城家住宅_二階応接間照明

 

松城家住宅の駐車所などの基本情報

地図

 

近隣からのアクセスと駐車場

戸田港の入り口、戸田三差路の交差点を井田方面へ。大川の箸を渡ってすぐを右へ。
そして左折、色の付いたアスファルト沿いに走ると松城家住宅の駐車場があります。

駐車料金は無料

 

公式情報

開館時間 9時から16時30分(入館は16時まで)

休館日 水曜日(水曜日が休日の場合は翌日)
    年末年始(12月31日・1月1日)

入館料
              個人    団体
大人(高校生以上)    300円    200円
小人(小中学生)     100円    50円
※市内の小中学生は無料

 

問い合わせ先

指定管理者 戸田観光協会
電話:0558-94-3115
ファクス:0558-94-3116

外部リンク 深海魚の聖地 HEDA-戸田! 戸田地区深海魚活用推進協議会 公式ホームページ

外部リンク 重要文化財松城家住宅(まつしろけじゅうたく)/沼津市