河口湖の湖畔付近にありながら、わりと目立ちませんが移築された本宮本殿などはとても立派で一目見る価値はあるかと思います。
富士山世界文化遺産7
冨士御室浅間神社
随感
吉田口登山道二合目の地に9世紀の初めに建立されたという伝承があります。
また富士山中に最も早く祀られた神社でもあるとする文献もあるそうです。
それにしても今の時代ならまだしもその当時に二合目とはまた随分と高い場所に建てたものですよね。動力のない時代にそれらのことを為すのは今の自分たちが想像するよりも遥かに大変な苦労があったものと思われます。それだけでもよほど想いが大きく大切だったことが伝わってきます。
二合目の本宮は文武天皇3年(699)に藤原義忠が富士山中に最初に勧請したようです、が延暦10年(800)の噴火で消失し、大同2年(807)に坂上田村麻呂が東夷平定の奉賽として社殿建立したと伝わっているそうです。それは富士山中に建てられた社としては最古であることを伝えています。確かの他の浅間大社をはじめとする浅間神社は山麓にあってもみなもっと標高は低いところに建っています。
また現在の拝殿である里宮は、天徳2年(958)に氏子の便を図り河口湖畔に建てられたそうです。さすがに本宮まで参る道は険しかったのでしょう。
現在、二合目にあったとされる本宮本殿(国の重要文化財)は慶長17年(1612)に富士山2合目で再建され、昭和49年に移築されて現在は里宮拝殿と斜に向かい合うように建てられています。
朱塗りの社は荘厳で美しくもあります。しかしあまりに綺麗すぎて周囲の雰囲気からちょっと浮いてしまっているのは見ていて残念な気も。もし今も往時のように深い森の奥に静かにこの建物が佇んでいたのならと想像すると、そのような光景を見てみたかったと残念な気がしてなりません。
それに対する里宮拝殿は十分立派な作りなのですが、何処か田舎の神社といった風情の親しみやすさ、身近さを感じさせるほっとするような空間となっています。
※こちらの写真は里宮拝殿の向かいに伸びる参道です。結構長さがあり立派なものです。なぜかこちらの里宮拝殿は河口湖を背にして建ち、参道は南側富士山方向に伸びています。富士山を崇めているのに面白い造りですね。おもわず実は河口湖の方に崇める何かがあるのではないかと疑ってしまいたくなりますw それはそれで面白そうなのですが、まぁ、妄想でしょうね。
この参道写真の右手側に本宮本殿が移築されているのですが、何故か良い写真が無くて今回は載せていません。また撮りに行かなくてはなりませんね。
またここの参道もなかなか距離があり、両側に繁る木々に貫禄を感じつつゆったりと歩くと、武田家を始め多くの者たちの信仰と崇敬の念を伺うことができます。
河口湖畔近くにありながら観光客の集まる場所から離れているためわりと目立たない神社ですが、十分に歴史と重みを感じられる雰囲気のある場所です。春には湖畔で流鏑馬も行っていて勇壮な光景を見ることもできます。
なお残念なことに二合目の奥宮は現在は小さな社が建つのみで、ほとんど見るものがありません。それでも確かめたい方は足を伸ばしてみるのも面白いかもしれませんね。或いはもともとそこは聖地なわけでしてパワースポットとしての秘めたる何かがあり、感じ取ることができるかもしれませんね。
基本情報
地図
近隣からのアクセスと駐車場
河口湖の南から来まして河口湖大橋の二つ手前の信号で左折し湖畔に続く道へ出ます。
そのまま時計回りで道なりに進むと左手に神社の境の柵と右手に公園らしき場所があります。そこをを過ぎ道が右に大きく 逸れますがカーブの左に看板と鳥居があり車で入れます。参道を横断した先にも無料駐車スペースがあります。
公式情報
4月29日 武田流流鏑馬神事
冨士御室浅間神社 TEL:0555-83-2399
〒401-0310山梨県南都留郡富士河口湖町勝山3951
河口湖から湖畔周遊レトロバスで 10分
冨士室浅間神社 下車
中央自動車道 河口湖I.C.より 車で12分