今は寂れてしまっていますが、かつては多くの人の心を集め繁栄していた場所です。その時の移り変わりによるギャップを感じてください。
富士山世界文化遺産4
村山浅間神社はかつてはこの地で繁栄していました。その僅かな面影が偲ばれます。
※こちらは村山の浅間神社側の入口の写真ですね。この右隣には大日堂への入口と石段があります。上では敷地は繋がっているのでどちらを登っても一緒ですから好きな方を選んで登ってください。
随感
今は小さな社と隣接する敷地に同じくこぢんまりとした大日堂があるだけですが、かつてここには富士山興法寺が創建され富士修験(村山修験)の聖地として隆盛を極め全国から集まる山伏を総括していた聖地でした。
平安期に富士上人が山頂に大日寺、村山に伽藍を起こし、鎌倉期に般若上人が富士行を創始し富士修験は始まりました。
富士山はかの役行者小角が修行をした地でもあり、山興法寺は出羽三山、金峰山、白山等と並ぶ神仏習合の修験道の聖地でありました。そして時の権力者たちの崇敬を集めとても栄えておりました。
小角といえば修験道の始祖として崇められる偉人です。流刑の地である伊豆大島から毎夜海を渡って富士山で修行をしていたという伝説の御仁です。当時の修験者たちにとっても、尊敬して止まない先達であり、ある意味憧れのヒーローだったのではないでしょうか?
富士山が霊山として崇拝されていたのはもちろんのこと、そのような影響も少なからずあったのかもしれませんね。今でもその偉容を残している出羽三山、金峰山、白山らと肩を並べていた聖地がこの場所にあったと想像すると心が震えます。
しかし室町期から戦国期かけて最盛期を迎えたこの地は、江戸時代には地震や噴火などの自然災害に度々襲われて衰退が始まり、明治期になると修験道禁止令が発せられ、合わせて神仏判然令も下されて僅かな灯火も吹き消されてしまいました。
かつては多くの修験者が集い暮らし荘厳な聖地であったこの場所には、現在は分離された浅間神社と大日堂がひっそりと残るのみです。境内にそそり立つ巨大な御神木のみが、当時の隆盛を知るのみとなっております。
現地では神社と大日堂が二つに分けられ左の鳥居の先にあるのが浅間神社で右の石段の先が大日堂となっており別々の法人が管理しているそうです。
そのような場所ですので残念ながら当時の建物は現存しませんが、御神木となる千年杉や乳垂れの銀杏などの静岡県指定天然記念物に指定されている貴重な樹木もあり、威容を放っています。雰囲気は良いですよ。
そしてここ村山浅間神社がちょっと面白いのは、かつてここで祀られていたのが赫夜姫(カグヤヒメ)だったという事実です。
富士山の御祭神といえば富士山本宮浅間大社でみられるように木花之佐久夜毘売命がいまでは当たり前です。しかしこちらは違ったのですね。
「赫夜姫」とは日本人なら大概の人が知っているであろうあの竹取物語の「かぐや姫」です。
中世から江戸中期頃までは富士山の御祭神といえば赫夜姫だったらしいですね。近隣の富士市には竹取物語の伝説も残っています。
神社の整備や記紀などの観点からか、富士山の主神が赫夜姫から木花之佐久夜毘売命へと変換が行われていることが窺えます。宝永噴火などもありましたのでより火之神としてしての資質が重要視されてきたのかもしれません。そんな歴史が垣間見えるこちらはとても興味深いですね。
今はその姿は留めてはいませんが、かつては大いに栄え、富士山の登山道として始めて開かれたのがここ村山を起点とした村山口登山道です。富士宮口の登山道が新たに整備されたことによりこちらは近年まで人々の記憶から忘れ去られましたが、最近は見直されて多少は整備されて、いまもその姿をひっそりと残しています。
大きな期待をして訪れるとがっかりするかもしれませんが、歴史を知り今の侘びた佇まいを眺めると胸の中に込み上げてくるものがあります。
こちらにははじめて富士山に登頂した外国人、駐日初代英国公使サー・ラザファード・オールコックを記念した碑が建てられています。実はこの方の碑は熱海の市街地にある大湯間歇泉脇にもあります。そちらはオールコック自身が「自分が熱海を訪れた最初の外国人である」と記念して建ててしまったという何と言いますか、自画自賛的な碑ですw それに対してこちらははじめて外国人が富士山に登ったことに対して150年記念として近年に建てられたものですね。
基本情報
地図
近隣からのアクセスと駐車場
469号を来ますと道路脇に村山浅間神社の標識がありますので、そこで曲がってください。すぐに着きます。
神社正面東側、もしくは西側に無料駐車スペース有り(無舗装)
大型は指定の場所へ
公式情報
参拝時間 年中無休
参拝料 無料
【案内所のご案内】
村山浅間神社の案内所は土・日・祝日(10時~15時) のみ開館しています。
開館時は、富士山世界遺産ガイドが常駐しています。
※年末年始(12/29~1/3)は閉館します。参拝時間・参拝料
〒418-0012 富士宮市村山1151
[平日] 富士宮市役所(代表) : 0544-22-1111
[休日] 村山浅間神社案内所 : 0544-26-6713
駐日初代英国公使サー・ラザファード・オールコックの碑のことも書かれていますよ。