白浜大浜海水浴場となり
通常、自分のようなあまり詳しくない人は白濱神社(白浜神社)と呼んでいますが、実は正式名称は伊古奈比咩命神社(いこなひめのみことじんじゃ)とのこと。
奇蹟の地 白濱神社
場所は下田の白浜中央と白浜大浜のビーチの間、下田プリンスホテルの隣になります。
ここは以前から白浜という目立つ地の中心にありながらこんもりとした緑が生い茂り、伊豆最古の神社の看板を上げていて気にはなっていましたが、生憎とこの地にいるときは遊ぶこと優先で足を止めることはありませんでした。
そもそもこの辺り、超人気の白浜ビーチがあって一年を通して周囲に車を駐めるのが難しい場所で、有料駐車場に入れる覚悟がないとなかなか駐めにくいです。
今回ははじめからこちらの神社を参拝する予定でしたので迷わず神社の駐車場へ入りました。
駐車場から浜に降りられそうな小径がありましたのでそちらに向かいます。
道はすぐに砂浜に出て、よく写真で見かける海岸の岩の上に立つ鳥居がありました。
青い空と海に映えてとても美しかったです。
やはり白浜の海は美しいですね。この日は波が高めでしたが、思わず海に向かって走り込みたくなってしまいました。(いや、海には飛び込んでいないので濡れてはいませんて)
一度駐車場に戻りまして道に出てから神社の方に向かいます。すぐ脇ですが……
なかなか立派な場所で驚きました。
鳥居のすぐ近くには大きく貫禄漂うビャクシンの古木が立ち、参道の先に立つ山を背負った拝殿も立派です。一目見て身が引き締まります。白浜のビーチの感覚で行きますと気持ちの切り替えが必要ですね。
拝殿で参拝を済ましたら本殿へ向かいます。
本殿は背後の山の上にありますが、そちらには左側の脇道から登ります。道は緩い階段で国の天然記念物である青桐の樹林を抜けていきます。
現れた本殿は派手ではありませんが森に包まれとても静謐な空間で身が引き締まるのを感じられる凄く良い場所です。
なぜ今回参拝する気になったのかといいますと、以前三嶋大社の記事を書くときに昔から頭の隅に引っかかっていたことを調べたのですが、それがきっかけです。
三嶋大社の記事でも触れていますが、三嶋大社は当然の如く三嶋大神を祀っております。その名の「三嶋」とは「御島」とも書き、一説では伊豆諸島を意味しているともいわれています。
実は以前から何となくですがあの海の見えない内陸部の三島にありながら何故か近所の富士山を祀るのではなく三嶋大神を祀っていることに疑問がありました。それがブログで記事を書こうとしたとき強く心に引っかかり気になって考えてしまいました。
そこで三嶋大社は遷座されてきたのではないかとの考えに至り、伊豆にあって伊豆諸島の見える場所にある神社で考えたところ以前から気になっていたこちらに辿り着いた次第です。
調べてみたところこちらの神社の名前にもある伊古奈比咩命は三嶋大神の后神とされています。
つまり奥さんですね、一気に三嶋大社と距離が縮まりました。
そして伊豆諸島やこちらにまつわる「三宅記」というのがとても興味深いです。興味があったら調べてみてください。
こちらの社伝によりますと、三嶋大神は海を越えて南方から来て高天原の神から伊豆の地を授けられました。そしてここ白浜に宮を設け伊古奈比咩命を后に迎えると、三柱の御子と竜神、海神、雷神と共に七日七夜「島焼き」を行い伊豆諸島を造ったのとのことです。
その後三嶋大神は三宅島に宮を造ってしばらく暮らした後、白浜に戻ったとされています。
こちらの神社のある地は火達山と呼ばれていますが本殿の裏は森になっていてそこからは古い祭器具が発掘されており、古代から祭祀がこの地で執り行われてたことが推測できます。
現場を見たかったのですが残念なことにそちらに足を踏み入れることはできませんでした。
またこの火達山はアオギリの自然樹林があり国の天然記念物に指定されていることからもこの地は古くから人の手があまり入らず大切な地として守れてきたことが伺えます。
伊豆諸島は火山活動で海上に生まれた諸島です。
三嶋大神はそれらを創造した神様なのですから創造神にして火山の神、火之神ともとれます。
火達山は海縁に小高くあり伊豆諸島を眺めるのにとても良い立地です。まぁ、背後の山に登ればもっと良く見えるのでしょうが、やはり海に近いというのがポイントでしょうか。
ここからは大島や三宅島などの伊豆諸島の島々が上げる噴煙が良く見えるのかも知れませんし、時には陽が沈んだ後に水平線に赤く輝く島影が目撃されたかもしれません。
仮にそんな光景を今の自分が見ても神秘的なものに思えますが、縄文の人々などにはまさに神の御業に思え畏れたとしても不思議ではありませんよね。
そんな「御島」様を崇め鎮めるためにこの地で原始的な祭祀が執り行われ神社になっていったとしてもおかしくありません。
富士山の話しになりますが、まさに山宮浅間神社がそんな場所であり、今でもその名残で富士山をご神体として本殿のない作りとなっています。
同様に昔からこの地でも火を吹き上げる御島様をここから遙拝していたとしても納得できますし、それが後に神社へと移り変わるのも自然な流れかと思います。
また御島神は南方から黒潮に乗って来られたようで、そのあたりもとても興味を惹かれますね。
いろいろと調べましても、やはり文献などでもこちらが三嶋大社が移る前の地であるかもしれなともありますので、個人的にもこの地を訪れてとても納得できるものだと感じました。自分の中で三嶋大社に抱いていた疑問が晴れた思いです。
不思議な体験
実はこの地を訪れたとき不思議な体験をしました。
写真を撮ろうと拝殿前の参道に立っていますと「ドン」と低い音がしたような気がしたのです。はじめは気のせいかとも思いましたがその感覚に何度か繰り返し襲われました。
「感覚」というのは、ほとんど耳に聞こえる音ではなかったからです。大きな太鼓の音を身体に感じるあの空気が振動する感覚に近いものだったのです。低周波が身体を叩く感じです。微かですが時たま境内でその感じがしたのです。
スピリチュアルな人ならば「神様が――」となるかとも思いますが、残念なことに自分は朴念仁でそのような感覚には疎くてどうしても頭で考えてしまいます。
実はこの日は台風が過ぎた後で海は荒れていました。
白浜のビーチから見ますとこの火達山は伊豆でよく見かける凝灰岩の固まりに見えます。もしかすると山全体が一つの固まりかもしれず、時より強く打ち付ける波が山全体を振動させ低周波を発生させているのでは、とまずは考えました。
でもそれだけでこんな打ち付けるような振動が発生するのだろうか?
と疑問を持ち、もう少し考えを進めてみて、じつは海側には洞が穿っており、そこに波が押し寄せ内壁に打ち付けて太鼓のように中の空洞で音が反響して響いているのかも、と思考を進めてみました。が、まぁ確認はできません。
森には入れませんし、浜からの海岸側も立ち入り禁止で回れそうにないので。
もし虚が空いているとすると、いずれは龍宮窟のように天井が崩落してその姿を現すかもしれないなどと現地で考えておりました。
社務所で音について尋ねようかとも考えましたが、正直なところ幻聴に悩まされているアレな人だと思われるのが嫌で無理でした。
そのような経験も病歴もないのですが、もしかして今の自分は……などと想像するとかなり怖かったです。
その後の考察
で、この記事を書くにあたりいろいろと調べていますと、どうやら本当に海側から深い洞があるようです。自分の推測にビックリです。
「御釜」という海食洞があり、大潮の際には中に入ることもできるくらいのサイズで、以前に神主が中に入ったところ洞窟が奥に続き本殿の真下のあたりに漆塗りの祠があったとのこと……
オオッ!!!
となると上記の推測が正しかった可能性が俄然高くなりました。
本当に火達山全体が巨大な太鼓になっていたようで自分が感じた振動には理解可能な理由があり錯覚ではなかったことにとても安堵しました。
と同時に自然のすごさに改めて驚かされました。
古代の人もこの音を感じていたのならば、ここが特別な地として聖域化していたことも納得です。思わぬ処で思わぬ体験ができてとても感動しています。想像以上に素晴らしい場所でした。
おかげさまで記事がいつもよりも長くなってしまいましたw
因みに振動を感じた場所は参道の一の鳥居より内側、拝殿前の開けた場所から本殿に続く階段の登り初めくらいです。たぶん入口や本殿の付近では感じませんでした 。気が付かなかっただけかもしれませんが。
低周波なので潮の高さや波の入る角度、強さで位置などは変わるかもしれませんので参考までに。
※これは自分が体験した現象に対する勝手な推測で科学的に正しいのかは判りません。ただ海蝕洞に高波が入り大きな音を発生させる現象は他でも確認されていますのでそう的外れではないかと思っています。
むしろ個人的にはそうでない方が怖ろしいです……
白濱神社を再訪しました!!
※2019.6.9追記
こちらの記事に書いた音の原因と思われる火達山の海蝕洞と御釜を主に尋ねてみました。必見です!
白濱神社の駐車場などの基本情報
地図
近隣からのアクセスと駐車場
135号沿い、下田プリンスホテルの隣の森になります。
駐車場は神社の白浜大浜側にあります。道路に16と書かれた標識のあるところです。
道路から入った入口にビーチ用の駐車場がありますが、その先の奥に入ったアスファルトの駐車場です。
参拝者無料、1時間超は1000円
公式情報
静岡県下田市白浜2740
白濱神社 社務所
TEL:0558―22―1183
下田にはこんな場所もありますよ。